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登録者 舟橋 正浩
日付 2005-07-01 13:43:53
題名 松延先生のご意見を転送いたします
皆様
舟橋です。
最後に松延先生からお寄せいただいた、ご意見を転送いたします。
これにて、本当に会議室を終了させていただきます。
皆様本当にありがとうございました。
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会議にご参加戴いた皆様
県庁の山崎主事から県民電子会議室閉会のメイルをいただいていますが、昨
日、米国の調査から帰国いたしましたので、モデレータの方のご許可を戴い
て、レポートを投稿いたします。
今回の私の訪米は、食の安全を中心としたものです。
CDC(連邦感染症疾病コントロールセンター)、Food and Drug
Administration、Cornell大學等で、専門家、研究者、行政官、産業人、メデ
ィアの方々と意見交換を致しました。
まず、遺伝子組み換えですが、この技術は、予想を超えた速度で急速に発展
し、先進国と後進国の差が縮まり、ガレージでも高校でも使える技術となりつ
つあります。
農作物については中国、インド等で特に遺伝子組み換えの研究のレベルが高
く、それが利用栽培に繋 がる動きは明瞭です。
つまり日本のGMOの研究開発機関を取り巻く競争環境は、ますますシビアに
なってきています。
一方、米国でも作物によって差があるようです。
以前書いておきましたが小麦の問題です。日本のメディアが当地でインタビ
ューしたところ、小麦は経済性の理由によりGMOが出ていないということがモ
ンサント等からの回答であったようですが、この特派員は信じていませんで
した。もちろん信じるかどうかと科学的に妥当か否かは、べつの問題ですが。
稲GMOについてですが、アンホイザーブッス社という、ビールでは最大手の
メーカー が、農民の反対によって最近、実験を中止したという報道がありま
した。
いずれ確認の報道があるでしょうから、其れを待って判断すればよいことです。
私が従来から問題視していることは、日本では作物ごとに、新品種開発者や
種 苗生産者が異なっていることです。
たとえば野菜、果樹等園芸作物では、従来型の種苗会社が幾つも世界に大飛
躍してい ますが、いわゆるバイテク技術は使っていません。米や麦は国、県
が中心で、民間企業はほとんどありません。
欧米では、モンサント、デュポン等、世界的多国籍企業の主導によりGMO化
や一 部子会社の形で種苗事業が行われています。これら少数の大企業による
寡占にならな いかということが気になって当然でしょう。これにはプラスと
マイナスがありますが、こと開発競争力となれば、大企業でなければ、規模に
よる力の差がこれからの大 事な問題になります。
一方、前出の特派員も述べていたことですが、これらのGMOの開発の情報公
開は ビックリするほど進んでいて、地元との話合いも早い段階から進められ
る面は否定出来ません。
私は1980年代初めから、バイテク技術と産品について、「早くから公開の議
論を各界で始めなければ、いざ栽培の段階となっては遅い」と訴えてきたつも
りです。残念ながら力不足で実現されてきませんでした。
米国では早くから、学会や政界、産業界等でも議論が始まってきていまし
た。大統領選挙ですら、先端技術を受け入れるべきか否かが争点になっていま
す。これからのわが国の課題であります。
GMOの規制の問題に関して、興味があったのはブラジルにおける事例です。
GMOの進んでいる州と、進んでない州があり、結局、国としては、それを追
認する 形でGMO大豆を認めているところと、そうでないところに分かれている
とのことした。
ちなみにブラジルの大豆は、日本が米国の独占を崩す形で開発を進めていま
し たが、最近では中国の買い手としてのシェアが高まり、これはブラジル自
身が当惑するほどであります。
GMOについて申し上げたい事は、まだまだありますが、私が重要だと思うこ
とは、わが国の「有機農業」の不振です。輸入農産物の有機認定数も急増して
います。
米国では、GMOが嫌いで、農薬が恐ろしければ、この有機栽培、あるいは、
その加工食品を選択すれば良い、という消費の形になっています。
一般に、多くの有機産品や、その加工食品が手近でそれほど高い価格ではな
く、また「信頼して」買うことが出来ます。
新潟県には日本、いや世界に誇ることの出来る無形資産が数多くあります
が、食文化もその一つです。いまや日本の生活文化、たとえばポピュラー・カ
ルチャーは、日本にとって の資産あるいは武器とも言われています。食に関
してすぐれた大學・研究・検査機関 や食品企業もあります。たとえば、佐渡
では不耕起稲栽培が進んでいます。
条例の一つの分野として、これらもご議論戴くようお願いして筆を擱きます。
松延
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